ニュートンと林檎の樹 レビュー
2017/05/31 Wed. 01:08 [edit]

更新
今日はLaplacianの最新作、ニュートンと林檎の樹のレビュー記事です。
メーカー2作目となる本作ですが、1作目は存在は知ってたものの購入してません。
本作は体験版も面白かったですし、
何より他メーカーにはないユニークさが満載でしたので、期待してました。

つづき(ネタバレも含む可能性があります)
シナリオは5人。最初は四五とラビが攻略できます。
開放されていない選択肢はグレーアウトするので分かりやすいですが、
春、エミー、アリスはラビ攻略後でないと開放されません。
またラビルートは周回するとシナリオが変化します。
上記はとても気付き辛いですので、プレイした方も気付いていなければ必見です。
アリスルートはクリア後におまけから「強くてコンティニュー」が追加されます。
一応アリスルート後のシナリオになりますが、
かなりお遊びのオマケルートなので、プレイするタイミングは要注意です。
また、こちらも気付き辛いですが、
テキストウィンドウ右下のオブジェクトをクリックすると用語集に飛べます。
内容はおふざけが入っているものもありますので、見ると面白いかもしれません。
ルートそれぞれの時間は
共通 6h
アリス 2h
四五 1h強
春 1h強
ラビ 1.5h
エミー 1h弱
計13h
※共通は日付が変わる際のアイキャッチがキャラ(個別)でない部分を指します
※ラビはEND2込み、アリスは強くてコンティニュー込みの時間です。
テキストの分量としては平均より少し短めかなと思います。
ただ、ジャンル的に鈍足で楽しむような作品ではありませんので、
時間にするとかなり早めに終わってしまいます。
■共通
本作のシナリオはタイムトラベルモノらしく、階段式になっていますので、
攻略は四五→ラビ→ラビ(2周目)→春→エミー→アリスの順で自分はプレイしました。
一応、オススメの攻略順です。
上記からどこからどこまでが共通と言うのは書きづらいですが、
分岐する日付は以下のようになってます。
・四五 → 16th Day
・ラビ → 17th Day
・春 → 24th Day
・エミー → 33th Day
・アリス → 上記の分岐をすべて回避後
■アリス
最後に攻略しました。
33th Dayのエミー分岐を回避すると突入します。
概要は一言で言うと
「プリンキピアを書き上げ、正しい歴史に戻し、主人公は元の時代にルート」
非常に王道で良いですね。
ここまでのルートで主人公が居残るルートは散々見てきましたので、
ちゃんと帰るルートもあって良かったです。別れの美学という感じです。
エミールート直前のくだりを受け継いでいますので、
プリンキピアを2人で書くという展開はこれまた斬新だなと。
エミーをやった時から思ってましたが、他の展開のほうが好みではあるかな思います。
個人的には
「アリスのピンチを主人公が正体バラしつつも助ける。
タイムパラドックスを避けるためにアリスと別れ、主人公は元の時代に帰る必要がある」
あるいは「それを避けるために再度、タイムマシンを使って過去に戻る必要がある」
みたいな山場の持って行き方かなぁと勝手に妄想していましたので。。
しかしながらアリスルートは結末としてはかなり好きです。
主人公が元の時代に帰ろうとするシーンとか、
現代に戻ってきてからじいちゃんと図書館で本を開く流れとか。
王道ながら良いものですね。EDの風の唄でそれなりに余韻を感じることができました。
一応、登場するキャラ全員正しい形でハッピーな終わり方でもあります。
(ちょっとラビだけは物悲しいような気もしますが)
アリスルートクリア後にオマケから「強くてコンティニュー」が追加されます。
こちらも長くはなく、時系列としてはアリスルートクリア直後のオマケルートになっていま。、
開始時の注意にあるように、余韻は薄れますので、ご注意ください。
キャラとしては好きです。
すごく舌足らずなセリフが多いところがなかなかにチャーミングです。
本作前半は春とアリスの出番があまりないので、
会話したような気があまりしないのがキャラとしては残念なポイントでしょうか。
ムービーは「アップルパイでティータイム」。
アリスルートで演出が入ります。
てっきり秋野花さんをふんだんに使った
「バカ!アホ!童貞!死ね!」みたいなムービーかと思ってたら
アリスルート終盤の話と絡めた、もの哀しいムービーで一本取られました。
ホロリとくるような、とても良いムービー演出でした。
シーン数は5。
ルート中に3、オマケで1、強くてコンティニューで1です。
予想通り、おしっこシーンは勿論ありました。
■四五
最初に攻略しました。
16th Dayで1番最初に分岐します。
概要は一言で言うと
「四五と過ごす、救うために世界を元の形に修復することを諦めるルート」
タイムトラベルモノなので序盤、グッと設定で引き込んでくる本作ですが、
四五ルートは中でも若干キャラゲー寄りです。
長さもさほど長くなく、割と色々な設定を投げ捨てて完結します。
細かいことはいいんだよ!がコンセプトの本作なので、目くじらは立てないですが、
他ルートと比較しても物語的には雑な作りだったかなと思います。
転の部分もタイムトラベル部分としては捻りもなく、
病気になって命の危機だから〜、と安直なところもあったかなと思います。
それに対する主人公の思慮の浅さもポイントは低いです。
結末もキャラを選ぶが故、世界はハッピーエンドと言えない形になるため、
意見が割れるかなと思っているルートです。
個人的には、ありがちですがシュタゲのように何かの二者択一や事情があって
世界を戻すことに成功しなかったルートも何かしらあるかなと思っていたので、
結末自体は嫌いではありません。
キャラとしては
ビジュアル、変人過ぎるところ、かなり一途なところ、不器用なところ
が好みではありますが、
結末は想定内としても、道中が少々期待ハズレだったのでイマイチな印象が残りました。
少々、他ルートでは報われないキャラなので不遇かなとは思います。
アリスルートで完走した際だけ少々マシといったところですね。
ムービーは「人類が万有引力の法則を失った場合の考察」
本作序盤で演出が入ります。
体験版をプレイしてこのムービーで購入を決めた方もいるのではないでしょうか。
個人的にはプレイヤーを引き込む意図を考慮すると四五のムービーが1番秀逸だと感じています。
シーン数は4。
ルート中に2、クリア後のオマケで2になっています。
王道なシーンが多いですが、少々CGが不安定だったような気がします。
■春
3番目に攻略しました。
24th Dayで3番目に分岐します。
概要は一言で言うと
「春と一緒に過ごすために元の時代に帰ることを止めるルート」
春ルートは本作の中では1番キャラゲー寄りです。
ラビルートを経て、元の歴史に戻すための重要な要素である
「春とアリスが仲直りし、プリンキピアを自費出版する」道には進みます。
が、春とイチャつくあまり、アリスとエミーを放置した結果、
その先の第3編の執筆には至らず、正しい歴史に戻す機会を失うといった流れです。
上記ですので、ルート分岐後はキャラとの甘い生活シーンがメインです。
ここまで展開が急ぎ足気味だったのに対し、
ラビルート以降の後半は春ルート含め、少々気が緩むようなパートが多かったかなと思います。
個人的には相変わらず個別が短めだったことは残念ですが、
可愛さ満点のルートを満喫出来て、面白いというよりかはニコニコでした。
キャラとしては勿論好きです。
巨乳のほんわかしている性格のお姉さん(尚、自分よりは歳下)、立ち絵の表情、何よりこの声。
プレイ中の私はさぞ顔面崩壊していたことかと思います。
ただ、こちらも出番がとても少なかったように感じるのが非常に残念なポイントです。
(春よりもエミーのほうが出番多いのでは・・・?)
ムービーは「やまと・ナ・Disco」
春ルート分岐後に演出が入ります。
他が尖っているので、目立ちませんが、キャラ(可愛さ)重視で思わず私もニッコリです。
シーン数は4。
ルート中に2。オマケで2になっています。
てっきりおしっこ担当はアリスなのかな、と思ってたのですが、
春にも入れてくるとは、さすがベコ太郎先生です。。
シーン中ではないですが、シーン後の一緒に寝そべっているピロートークのCG、
出てくる度に思うのですが、あれ本当に好きです。どの作品も搭載して欲しい。
あとは強くてコンティニューのおまけルートのEDを見てる最中に思ったのですが、
春のSDCGで「人類初のパイスラッシュ!」のやつってどこで表示されました・・・?
なんか見覚えなかった上にギャラリーにも見当たらなかったので。
■ラビ
2番目に攻略しました。
17th Dayで分岐します。
概要は一言で言うと
「ラビの後悔を晴らし、本筋の話をその先の展開に進めるためのルート」
元々、ラビは事前段階で面白そうだなと期待していたのですが、
シナリオとしては良い意味でブラックホースでした。
シナリオはラビに焦点が当たって基本的には進みますが、
その過程で主人公たちが気付かなければいけない設定なども盛り込まれており、
作品としてかなり上手いルートになっていると感じます。
結末も階段式のシナリオを上手く使った、
タイムトラベルモノらしい物悲しい展開になっており、
ラビ攻略後出ないと先に進めないという作りにしたのも満足です。
キャラとしては
ただのキマった面白いキャラかと思いきや、
ルートの最後、またその先の展開の献身的な姿でやられた方も多いのでは。
アリスや春といった主要キャラは思わぬ歴史上の人物であることが語られますが、
実はラビもそうだということが、1番最後のアリスルートで判明します。
1周目は報われないルートになっていますが、2周目はシナリオが変化します。
2周目は終わり方が薄いというか、
あれ?この先の展開は?ないの?と個人的になりましたが、それでも必見です。
また春以降のルートでは、そんなに出番はありませんが、
ラビはラビルートの記憶があるラビもいると推測されるので、
所々セリフがズルいです。
アリスルート終盤の「ラビは、楽しかったゾ…」みたいなセリフ。かなり良かったです。
ムービーは「ラビリコ・ピリララ・ラビラボラトリー」。
ラビルートで演出が入ります。結構後半なので最初アレ?飛ばした?と思ってました。
音ゲーマーが好きそうな電子音で良かったですが、面白さは四五には敵わず、という印象。
シーン数は4。
ルート中に2。オマケで2になってます。
本キャラらしく、いきなり爆乳、ふたなり、とやりたい放題なシーンが多いです。
■エミー
4番目に攻略しました。
33th Dayで分岐します。
概要は一言で言うと
「プリンキピアをエミーが執筆し、エミーと過ごすために元の時代へ帰ることを止めるルート」
こうして書くと、展開は春と似ていますね。
エミーはサブキャラなのかメインなのか完全によく分からない立ち位置になっています。
時間は短いですが、設定も内容もかなり予想外の方向に逸れていきます。
個人的には面白おかしくやるサブルートかな?と思ってたので、割と大真面目で驚愕です。
アリスが思い付くはずだった、万有引力の法則をエミーが思い付くという
非常に斬新な展開ですが、プレイ中は「うーん…」といった具合で
個人的にはあまり好みではなかったです。
つまらないとかではなく、単純に
「紆余曲折ありながらも王道にアリスが思い付き、アリスがプリンキピアを執筆して欲しかった!」
という意味ですね。
エミールート前くらいからかなり物語が駆け足なのも気になります。
面白くなってきてからの着地点に辿り着くまでの間がかなり物足りなく感じます。
エミーが万有引力の法則を思い付き、プリンキピアを執筆することで
正しい歴史に戻りますが、エミーを1人に出来ないが故に
主人公は元の時代に帰るのは止めるといった流れです。
時間は他ルートよりも更に短めでしたし、
アリスはプリンキピアの執筆を諦め、寮のメンツは離れ離れになり、
四五に至っては1人で元の時代に帰されるという、
あまり後味も良くないルートだったかなと思います。
ムービーは「ディグ・ダグ・男爵」。
エミールートで演出が入ります。
予想はしてましたが、かなり電波ではっちゃけているムービーでした。
シーン数は3。
ルート中に2。オマケで1になってます。
ただ、エミーのオマケはアリスとの3Pになっているので、開放はアリスルートクリア後です。
■グラフィック
なかなか萌えゲ寄りの可愛らしい原画をしている本作ですが、
少々不安定なCGも目立ちました。特に気になるほどでもないですが。
SDCGを含むため、CGの枚数は少なめ。
日常CGもシーン数もさほど多くはありません。
演出面という意味では道中のムービーに力を入れているので満足ではあります。
個人的にはエミーが私服を作成するのはかなりGJでした。
アリスも可愛らしいですし、春さんのタートルネックのセーターが堪らんかったです。
というわけで、キャラグラフィック周りは可もなく不可もなく、という印象です。
逆にキャラ以外の背景などはなかなかレベルが高かったかなと思っています。
最後に一点、スタッフロールを見ると「おしっこ監修:ベコ太郎」と流れてきて笑いました。
■サウンド
ボーカル曲は2曲。
OPである「風の唄」はアリスルートのEDでもアレンジされて使用されています。
このOPですが、かなり良い曲ですね。
アリスルートのEDで流れた時は読破感も感じることが出来ました。
(ただ、やはり期待値に対して少々ボリューム不足だよなあとは思いつつ)
EDである「空の約束」
こちらは個人的にはあまり印象に残りませんでした。
少々不気味なイントロは良いかな?と思ったのですが。
本作のBGMはかなりハイレベルなものになっています。
世界観が世界観なので、ケルト風なものが多く、
非常に耳に残りやすいものになってたかと思います。かなり満足しています。
■総評
コミカルなタイムトラベルモノとして期待を集めていた本作。
その名の通り、かなり軽快なテキストがまず1つの特徴かなと思います。
何気ないシーンもギャグが効いていて正直、結構笑わせてもらいました。
ただし、少々ノリが過ぎるかなと思わなくもない部分はありますので、
歳を取ったオッサン世代だとノリという名のエネルギーに付いていけない人もいるかもしれません。
それでいて、タイムトラベルモノである本作ですが、本来は
・いかに緻密に設定を練り上げていて矛盾がないか
・小さな行動により大きく事象が変化するという点を利用した意外な展開
・どこか不気味で怖さを感じる雰囲気
・主人公が取るに取れない二者択一の選択をしなければいけないという切迫感
このあたりがタイムトラベルモノが面白く、夢中に読める人が多い要因かなと思ってます。
その点、本作は設定面では叩けばホコリがいくらでも出てくるようなものになっています。
「ラビママの持っていた現代の物理学的にもあり得ない品々」など
そもそもが空想の創作物が出てくる、という設定がある分には全く構わないのですが、
その空想の設定内でも矛盾点はいくらでも出てくる、という意味です。
その割には因果、タイムパラドックスを気にする描写も結構含まれますので、
人によっては「コミカルなの?マジメなタイムトラベルモノなの?キャラゲなの?」と
中途半端な印象を受けるかもしれません。
そもそもが「細かいことは考えない」を文句にしている本作ですので、
一般的なクオリティの高いタイムトラベルモノを期待するのはオススメしません。
逆に「タイムトラベルモノ?面白そうじゃん!細かいこたぁ作中面白ければなんでもいいよ!」
という気がある方ならば、本作は大いにオススメします。
個人的には所々の結末や道中の展開に不満がまったく無いわけではないものの
ここ最近の作品の中では道中はかなり楽しく、
かつ、このような他にあまり見ないユニークな作品がプレイできたので満足しています。
強いて言うのでしたらシナリオ部分での不満はやはりボリュームでしょうか。
階段式の分岐を取っている作品であるため、個別が短めになるのは分かるかなと思います。
それにしても春とアリスの不仲が解決してからの後半は
「あれ?もしかしてもうゴールに向かっちゃう?」と駆け足の印象を受けました。
ここを境にいわゆる「先が気になって仕方ない」という感情に区切りが付いたように感じます。
ですので、本筋にもう一山あるようなシナリオ構成だったらより良かったかもしれません。
その他、
・サウンドは世界観に助けられている部分もあるが、かなりハイレベル
・グラフィックは質、量含めもう一声がんばって欲しいところ
・ムービーはとてもユーモアに溢れていてとても秀逸だった
・システム面は平均的。ただ、ゲーム網羅が若干不親切
・次回作も他には無い、ユニークな作品を期待しています
上記のような評になるかなと思っています。
まだ2作目である本作ですが、インパクトの強い本作で知名度も上がったかと思いますので、
ここから更にハードルが上がる3作目も期待しています。おそらく、買うと思います。
5月はもう1本、恋愛ルセットを購入しましたので、
そちらを良い意味で脳死させながらまったりやります。
(裸パッチを現住所ではない家に忘れてきて凹んでます。さほど問題はないですが)
ハイクオの面影レイルバックが発売日通りに出るのか未だに怪しいですが、
恋愛ルセットやってたらちょうどそのくらいになるのかなと思ってます。
category: アニメ・ゲーム
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