千の刃濤、桃花染の皇姫 レビュー
2016/09/27 Tue. 23:20 [edit]

更新
早いもので、もう9月も終わりでございます。
今日は先週発売した、AUGUST最新作、
千の刃濤、桃花染の皇姫(愛称:千桃)のレビューです。
先程、サブルート含めて完走しました。

軽く2週間はかかるんだろうな、と思ってたんですが、かなり早めに終わってしまいました。
つづき(ネタバレあります)
今作、特にアダルトゲーム追っかけてたわけではない時期だったので、
詳しくないのですが、初報からかなり経ってますよね。
2年、とは言いませんけど・・・、1年半くらいは経っているのでは?という印象です。
個人的には今月オーガストかー、ようやく出るのかー、くらいでしたが、
ファンの方からしたら、随分と焦らされたもんだなと思います。
明らかに力を入れているし、大作の雰囲気を感じたので、悩むことなく購入しました。
では、参ります。
ルート構成ですが、開放順はサブ以外フリーみたいです。
サブだけは朱璃以外の4人を攻略後に開放されたので、そういうフラグがあるのでしょう。
本作のシナリオは基本的に階段です。物語の途中途中で個別に分岐します。
個別といってもさほど大きな物語があるわけでもないので、
分岐後は割とあっさり終わってしまいますが・・・。
最後まで1本道を楽しんだ後に個別を楽しんでも良いですし、
階段の頭から順番に攻略していっても楽しめるかと思います。
(自分は警戒して純粋に頭から攻略していきましたが・・・)
ルートそれぞれの時間は
共通(滸分岐まで)・・・4h
滸・・・1h
共通(滸分岐~奏海分岐まで)・・・3h
奏海・・・1h
共通(奏海分岐~エルザ分岐まで)・・・1h
エルザ・・・1h
共通(エルザ分岐~古杜音分岐まで)・・・4h
古杜音・・・1.5h
朱璃・・・3h
紫乃・・・0.5h
睦美・・・0.5h
子柚・・・0.5h
サブシナリオ・後日談・・・3h(1つあたり10分くらい×20)
約24h
奏海分岐~エルザ分岐は同じ章内なので、書き間違いでなく、実際短いです。
※個別に入ってもその後共通テキストがあるので、時間は多少前後します。
勝手にハードル上げすぎていたのか、個人的には思ったより短いです。
古杜音の個別はそれなり・・・、朱璃の個別はさすがに力が入ってますが、
それ以外のヒロインの個別は大分おざなりに感じました。
各々のシナリオついて見ていきます。
■共通(滸分岐まで)
物語の導入。
自分は本作をそれほど追っかけしていなかったので、
設定コテコテの固有名詞満載で世界観理解するのに時間かかるかも・・・と思ってました。
ですが、それほどでもなく・・・、
開始2時間もすれば、何があって、何が目的で、どんな世界観なのか、
割とすっと馴染んでいました。
細かい内容としては、
「そんなに不思議パワーに溢れた世界だったんだ・・・」とか
「学校描写とか、制服の描写、めっちゃ浮いてる・・・」と思っていましたが。
街中では共和国人が人を殺すほどドンパチしているのに、
学校では食堂が分かれているのと授業の描写があったくらいで
結構、和気藹々としているのも終わった今でも少し違和感あります。
学校の描写は全体的に上手くなかったかな、と自分は思ってます。
それ以外の、奉刀会の描写などは期待通り、良いものになっていたと思います。
これからの物語を気にさせるという意味では、かなり出来の良い導入だと感じました。
世界観の導入と、滸中心のシナリオが展開されていたかなと思います。
■滸
自分は最初に攻略しました。
感想としては、適当な打ち切りルートもいいとこだな・・・と正直思いました。
滸のトラウマを克服して奉刀会を前向きにさせる → うん
そして奉刀会は勢力を伸ばし、皇国を取り戻したのだ → えっ!?それで終わり!?
といった印象でした。
本作も美少女ゲームの性質がありますから、
個別ヒロインを攻略できないといけないのは、まあ分かるんですけど・・・
適当もいいとこすぎるでしょう。
キャラとしては中身次第で人気があっても良さそうですけど、
その点では恵まれなかったかな、と思います。
あのルートだと、
アイドル設定もエロシーンのために用意したコスチュームにしか見えませんでした・・・。
■共通(滸分岐~奏海分岐まで)
お話のスポットはここまでほとんど出番のなかった現皇帝である奏海に移ります。
同時に、エルザの策略とお互いに化かし合いをしていきます。
最初の章よりかは、ヒロインの掘り下げが展開されている印象を受けました。
奏海については、キャラ自体の描写、
エルザについては、物語としての描写、が多かったかなと思ってます。
奏海は出番がなかったこともあり、どういったキャラなのか掴めてませんでしたが、
まさかのヤンデレ気質が強い妹キャラでびっくりしました。
エルザについては、別視点描写も多くあり、
(ここまでのヒロインに比べたら)よく物語と内面の描写がされているなと感じました。
海に行くのは正直に申し上げてグッジョブ!でした。
■奏海
自分は2番目に攻略しました。
感想としては、滸よりは良かったけど・・・、といった印象です。
相変わらず短いですが、
ギリギリ分からんでもないラインのエピローグを迎えていたので。
キャラやビジュアルとしては結構好きではあるんですが・・・、
物語の最初のほうはもう少しお淑やかだったような気がするのだけど、
後半にいくにつれて、お義兄様以外は何がどうなってもいいや感が強く出過ぎていたので、
「キミ、キャラ変わってない・・・?」というのが終わった後の印象でしょうか。
シーンは割と期待していたんですが、奏海については全然でした。
突っ立ってる立ち絵のほうが、エッチだな・・・と感じるくらいでした。
■共通(奏海分岐~エルザ分岐まで)
奏海分岐から地続きになっている章なので、この間は短いです。
本章の最後に物語が大きく動きますので、
ここまでで前半、それ以降が後半といっても差し支えはないでしょう。
お話の中心はエルザの策略がついに動き、それに対するアレコレといった感じでしょうか。
後半に向けて、謎部分であったキャラの設定や、話の本質が見えてきます。
先にも書きましたが、エルザの描写は割と優遇されていたように感じます。
本章以降は本作の物語と設定の根幹に関わる描写が多くありますので、
休憩するならここらで一息入れておくことをオススメします・・・。
■エルザ
自分は3番目に攻略しました。
懲りもなく短いです。
こちらもエピローグはギリギリ分からんでもないラインでしたが、
呆気なさと言いますか、それだけで解決してしまって良いんだ・・・という印象が残ります。
親父さんも腹になんか抱えている大物なのかと思いきや、あっさり死んだりしますしね。
キャラとしては、最初はさほど眼中に無かったんですが、
ここまでよく描かれていたこともあって当初よりは好きになりました。
グラフィックやシーンの意味でもエロ担当でしたかね。まあまあ良かったです。
■共通(エルザ分岐~古杜音分岐まで)
ここまでのお話で一段落つき、物語は本作の根幹に入っていきます。
具体的に言うと、2000年前の過去編がはじまります。
ここでは、過去に何があり、主人公やヒロインは何者なのかといった物語になります。
さすがにここは設定投げ捨ての適当な作りではなかったので、
テキストを読むのが捗りました。
期待していたような大作が展開されるので、
逆にここまでの話のスケールの小ささとは・・・、といった印象は抱いてしまいますかね。
古杜音、朱璃の描写も多く、根幹に関わってきますので、
自然と個別に分岐してからも違和感なく進めることができました。
■古杜音
自分は4番目に攻略しました。
ここまでのお話、そして流れとして自然にルートは楽しめました。
相変わらず短いですが、斎巫女の設定やキャラ自身の性格とも調和が取れていたので、
エピローグまで良いものだったと思います。
キャラもさることながら、良いものになっていますね。
表情、感情の起伏が豊か、ビジュアルも王道を攻めてますし、人気出そうです。
自分もビジュアルは勿論やる前から可愛いけど・・・とは思ってましたが、
ルートが良かったので、一層好きになりました。
シーンもミルキーベイビーなものがあって思わずグッと頷いてしまいましたね。
一つ言うならばその声で「あかり様」と言われるとドキッと闇を抱えそうになります。
■朱璃
自分は5番目に攻略しました。
当たり前ですが、ここまでのお話の結末を迎えます。
主には後半以降に展開した話がメインであり、
前半までのアレコレとかキャラの存在感の無さがすごいです。
切なくも力強い物語になっていますので、読み応えのあるものでした。
メインヒロインの設定や、本作のタイトルも綺麗なものになっていますしね。
キャラとしては、強くも儚い本作らしいヒロインになっていてとても良かったと思います。
ひたすらに可愛いなあ・・・とかいう豚感情はあまり湧きませんでしたが。
ただ、山奥に引きこもっていた割には感情の起伏があるキャラだなあ
とは、前半からずっと思ってました。
■サブヒロイン
攻略対象は紫乃、睦美、子柚の3人です。
どれもオマケなので、大した話でもなく30分くらいで終わります。
正直に申し上げると、睦美さんのシーンが用意されてるのは嬉しかったです。
ある程度、進めないと開放されないようですが、
途中でやっておいたほうが良い、ということもなく
とりあえずメインルートを一通り楽しんでからやれば良いのかなと思います。
■サブシナリオ・後日談
簡単に言うと、
メインヒロイン5人のエロシーン回収用のサイドストーリー・後日談です。
1つ1つは10分程度と短いので、気楽にやれば良いですが、
結構、キャラの掛け合いとかクスリと笑わせてもらったので面白かったです。
各ヒロイン終えた後にやれば良いかなと思います。
その他、相変わらず全ルートクリア後に
タイトル画面のAUGUSTロゴをクリックすると、なんかはじまります。
■グラフィック
ここは本当に変わらない・・・と言いたいところなんですが、
自分は違った印象を受けました。
端的に言うと、グラフィックだけで言うなら、少しエロくなりましたかね。
グッズ展開もなかなか良く、結構手が出そうでした。
今作、シーン自体はさほどでしたが、
絵だけで言うなら結構エロに天秤が傾いたような気がしました。
自分がオーガスト久々だから、ってだけかもしれませんけどね・・・。
CG数は期待していたよりも少ないかな?といった印象でした。
シーンについては
メインヒロインは各4回、サブヒロイン各1回、とあるキャラが1回の計24シーン。
数にするとなかなかですが、内容はそんなに期待しないほうが良いですかね。
原因としては仕方のないことなんですが、主人公のキャラが大きいですかね。
あ、でもミルキーベイビーは好きです。
■サウンド
世界観にあった良いBGMが多かったです。
実はゲーム中の曲名タイトルの3秒表示とか設定できる機能、気に入っています。
ボーカル曲ですが、
「桃花染に咲いて」「嗚呼 絢爛の泡沫が如く」は印象深さで言うと強烈ですね。
先日、ディファ有明で行われたオーガストライブにこっそり参加したのですが、
その時は千桃の曲は特に予習もしてなければ、まだ発売してないじゃん・・・くらいだったので
大して沸くこともなかったのです。
EGGでは「桃花染に咲いて」が聴けそうなので、楽しみな限りです。
今度はそれなりに沸けそうですね。
ゲーム終わってから口笛を吹きたくなってしまいます。
EDはOPほどの強烈さはありませんでしたが、良い曲でした。
■総評
ここまで結構文句も先行していたように思いますが、
全体的な一本のシナリオとしては、かなり気合の入ったものであり、
レベルの高い作品になってました。
特に光るのは演出、テキスト(言葉)の言い回しであり、
シナリオ自体はそれに磨かれたおかげで
魂の一本の作品に仕上がっているように感じるのかなと思ってます。
そういった意味で、読み物、美少女ゲームとして面白く、良い作品でした。
こういった作品が出てくるとこの業界もまだ頑張ってるなーと思います。
一方で、散々書きましたが、
適当で済まされた部分、まだ磨ける設定部分があったようにも思えます。
こういう壮大な設定の作りがオーガストの良いとこなんですけどね。
その分、釣り合いが取れた良い物を出すのは難しいんでしょうね。
本メーカーは物作りに本気だなあという姿勢を感じるので、
何年後の話か分かりませんが、次回作にも期待しています。
千桃は思ったより早く終わりましたが、
まだタユタマ2が手付かずで残っているので、
10月はまったりそちらをプレイしてます。
それにしても10月はあまり買うものがないような気がする。
ミドルプライスの終わる世界がなんとやら、を気にしてたけど、
延期してしまったし。
ここらでちと古い2、3年前の作品に手を出す余力ができるかな?
気の向くまま、良い作品に多く触れて幸せを感じたい所存です。
category: アニメ・ゲーム
コメント
途中で引っかかるのが民主化に拘りすぎている割に動機付けが薄いと感じた点
CGは背景含めて相変わらずオーガストさんらしい美麗なものだったのですが、シナリオの方で所々で微妙な違和感と物足りなさを感じました
初代PC版の「夜明け前~」からのファンとしては待たされたわりには肩透かしをくらった気分です。
同じシナリオグループの筈なのに何か違うと感じたのは時の流れのせいですかねw
オーガストは毎度設定に凝っていて、もっとやりたいんだろうなぁと思わせてくれるような良いメーカーだと思ってますが、
今のアダルトゲームはどうしても価格が決まってますので、それに逆算する形で開発費を出す弊害なのかなあ、と。
かといって、いつもの2倍、分量としてシナリオやCGなど力を入れたからといって、価格を2倍にしてもこの細い業界では買ってもらえませんからね…
FDならともかく、本編自体が二本前提の分割もあまり好まれませんし。
個人的には千桃くらい気合いれるなら、しっかり書いて欲しいので、定価1.5倍くらいでも買うよ?という気持ちなんですけどね。
昔の作品に比べて物足りなく感じるのは、数こなしたせいという自分の気持ち的な問題もあると思いますw
実際、最近のゲームって昔のゲームよりも全体的に少し長くなってると思いますしね…。
まじめに返信しましたが、コメント残して頂いてありがとうございます。
細々と更新しても見てくれる人は多からずいるんだなぁと嬉しくなります。
(個人的(50)というのがものすごく気になりますが)
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